「平和・人権・政教分離」に関する声明等一覧
私たち、恵泉バプテスト教会は、教会の信仰告白として、「平和・人権・政教分離」にかかわる課題に対して、
以下の告白をしています。
以下の告白をしています。
No. |
タイトル |
総会決議日付(送付日) |
1 |
「靖国神社問題」の状況を憂える恵泉バプテスト教会の宣言 |
1984年5月20日 |
2 |
「即位礼・大嘗祭」に反対する声明 |
1990年5月20日 |
3 |
中東戦争に関する恵泉バプテスト教会声明 |
1991年3月17日 |
4 |
森首相の「日本は天皇を中心とした神の国」発言に対する抗議 |
2000年5月21日 |
5 |
「日の丸・君が代」の強制に反対する声明 |
2000年5月21日 |
6 |
内閣総理大臣の靖国神社公式参拝に反対する声明 |
2001年5月20日 |
7 |
「新しい歴史教科書を作る会」の歴史・公民教科書を採択しないことを求める要望書 |
2001年5月20日 |
8 |
有事法制に反対する声明 |
2002年5月26日 |
9 |
南部バプテスト連盟に対し、女性問題他に関して書簡を送る件 |
2002年5月26日 |
10 |
Ron HankinsならびにLydia Barrow-Hankins宣教師辞職勧告の件 |
2003年5月18日 |
11 |
イラクへの自衛隊「派兵」を中止し、「武力によらない平和」の実現を求めます |
2004年3月21日 |
12 |
佐藤美和子さんに対する賠償問題に応じることを求める要望書 |
2004年6月20日 |
13 |
憲法改悪に反対する声明 |
2005年6月12日 |
14 |
小泉首相に靖国神社参拝をしないことを申し入れます |
2006年6月11日 |
15 |
小泉首相の靖国神社参拝に対し抗議します |
2006年6月11日 (2006年8月15日) |
1. 「靖国神社問題」の状況を憂える恵泉バプテスト教会の宣言 1984年5月20日
靖国神社の国営化を意図する靖国神社法案が、はじめて国会に提出されて今年で15年になります。同法案は何回も国会に提出されては、世論や各種宗教関係者の強い抵抗運動にあい廃案に追い込まれました。しかし、靖国神社を国営化しようとする勢力は、一層巧妙で周到な準備を重ね、元号法制化や、折にふれて首相や閣僚が靖国神社を参拝するという政治的既成事実を積み重ねて、国家護持に向けて外堀を埋めてきています。
昨年夏、中曾根首相は自民党に対して、首相や閣僚の靖国神社公式参拝が合憲であるための論拠づけを指示しました、これを受けた同党靖国神社問題小委員会(委員長、奥野誠亮元法相)は、それ以来異例のスピードで会合を重ねて合憲論を作り上げ、ついに本年4月13日、自民党は靖国神社公式参拝を合憲とする見解を採択しました。
この行為は私達の眼には、憲法の示す政教分離の原則を力でねじまげることのように見えます。政府の従来からの統一見解として内閣法制局が、「違憲ではないかとの疑いを否定できない」と度々表明しているにもかかわらず、強引に公式参拝を実現しようともくろんでいます。
イエス・キリストを主と告白するわたしたちは、このような靖国神社問題をめぐる動きに危機感を持ち、首相・自民党の強圧的な政治姿勢に強い憤りを感じています。
いま、わたしたち恵泉バプテスト教会は、自らの信仰的立場を明らかにするために次のことを求め、宣言します。
1.政府が、靖国神社公式参拝を「違憲ではないかとの疑いを否定できない」とする従来の統一見解にとどまることを要求し、首相や天皇による靖国神社公式参拝等の一切の危険な動きに対して強く反対します。
2.この国の為政者が信教の自由を侵すという誤まった選択をしないよう、一層思いを込めて彼らのために祈ります。
3.中谷康子さんの自衛官合し拒否訴訟を物心両面にわたり支援します。
4.日本バプテスト連盟が、公式参拝を合憲とする見解を採択した自民党に対して抗議を申し入れることを求めます。
第37-2回定期総会
2. 「即位礼・大嘗祭」に反対する声明 1990年5月20日
私たち恵泉バプテスト教会は、イエス・キリストを主と告白し、イエス・キリストの父なる神が創造の主であり、歴史を導く唯一の神であることを信じる者として、天孫降臨神話に基づき、「高御座」に立って即位を宣言する「即位の礼」に反対すると共に、天皇が現人神になると言われる神道儀式である「大嘗祭」に反対することを表明致します。
なぜならば、このような「即位の礼」および「大嘗祭」は、神の前における人間の平等を人間の側から否定する以外のなにものでもないからです。
「あなたは私の他に、何者をも神としてはならない」
第43-2回定期総会
3. 中東戦争に関する恵泉バプテスト教会声明 1991年3月17日
1991年1月17日未明アメリカ軍を中心とした「多国籍軍」によるイラク・クウェートに対する軍事侵攻によって開始された「湾岸戦争」は、数日間の地上戦を経た後に停戦になりました。
現代の戦争において真の勝利者は存在せず、為政者の都合による戦争が人々の生存権を脅かすのみでなく、国土をも荒廃させることは私たちの歴史からも明らかです。
中東戦争において近代兵器の登場は、多くの民衆を巻き込み、また、油田破壊、原油の流出など、私たちのかつて経験したことのない地球規模の現境破壊が行われました。
私たち恵泉バプテスト教会は、過去20余年にわたりヤスクニ問題と取り組んできました。そして、我が国においても先の戦争において「聖戦」「英霊」「大東亜の平和」というスローガンが叫ばれ、為政者によって利用され、民衆が駆り立てられた歴史を学びました。
その歴史の中から、「聖戦」「平和」など、いかなる理由であれ「正義」と言い得る戦争は存在しないことを訴えてきました。
私たちは、聖書の「平和をつくり出す人たちは、さいわいである」(マタイによる福音事5章9節)との言葉に立ち、平和憲法を有するわが国の政府に以下のことを要求いたします。
1.政府が、中東戦争後の諸問題解決のため国連を始めとした国際機関において、国籍・人種を越えて人道的立場にたち積極的な外交を展開されることを要求いたします。
2.私たちの税金が、「多国籍軍」などの軍事費支援金に使用されないことを要求いたします。
3.自衛隊を海外に派遣する、いかなる企ても今後一切、行わないよう要求いたします。
第44-1回定期総会
4. 森首相の「日本は天皇を中心とした神の国」発言に対する抗議 2000年5月21日
私たちは、聖書が示すイエス・キリストの福音を信じるキリスト者として、2000年5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会における「日本は天皇を中心とした神の国」という森首相の発言に対して強い抗議を表明し、発言の撤回を求めます。
この発言は、昨年の新ガイドライン関連法による戦争協力体制、国旗・国歌法による「日の丸・君が代」の強制、さらには新靖国神社法案の国会提出の目論み等、ふたたび日本を戦争の道へと推し進めようとするものです。
そもそも、神道政治連盟は発足以来、教育勅語の復活、剣璽動座、元号法、即位の礼・大嘗祭、国旗・国歌法、昭和の日など、天皇を神とする皇国史観や国家神道体制を復興させようとし、神道を援助・助長させるための政治団体です。首相がこのような団体の一員として積極的に運動を推進することは、憲法第20条「信教の自由・国の宗教的活動の禁止」に明らかに違反しています。
かつて、天皇を神として侵略戦争を進めた国家に協力した歴史を持つ私たちは、同じ過ちを二度と繰り返さないという信仰を告白してきました。私たちはこの信仰告白に基づき、森首相が今回の発言を撤回し謝罪すること、またその責任をとって辞職することを求めます。さらに過去の侵略戦争に対する政府の謝罪と、今もなお苦しんでいる多くのアジアの人々に対する補償の実現を求めます。
第53-2回定期総会
5. 「日の丸・君が代」の強制に反対する声明 2000年5月21日
私たちは、「内心の自由」~思想・良心・信教の自由~を特に重視するバプテスト派のキリスト者として、「日の丸・君が代」が学校現場に強制されている現状に抗議し、強制を速やかに止めることを関係当局に強く求めます。
1999年、多くの反対の声を無視し、政府与党は国会で「国旗・国歌法案」を強行可決しました。審議中、政府与党は「内心の自由にまで立ち入って強制はしない」を言明したにもかかわらず、学校現場では、2000年春の卒業式や入学式で多くの「強制」が行われました。
文部省は、その法律を盾にして実施率の低い自治体に圧力をかけました。それを受けて東京都教育委員会は各学校に通達を出す際に、「これは命令として考えてほしい」と念を押し、教員に対しては「職務命令」と「処分」による強制を行いました。このような「指導」の名を借りた強制は全国でも徹底的に行われ、卒業式・入学式での実施率が大きく引き上げられ、その結果、多くの子どもたちや保護者、教師たちの内心の自由が踏みにじられました。
私たちは、イエス・キリストの示す神以外なにものをも礼拝しないことを告白しています。「日の丸」に頭を下げることは偶像礼拝であり、「君が代」を歌うことは天皇を讃美することです。ですから、「日の丸・君が代」の強制は、イエス・キリストを信じる子どもと親の「内心の自由」、家庭の「教育権」を著しく侵害することであって、認めることはできません。
また、「日の丸・君が代」は、かつてのアジア・太平洋戦争において日本軍がアジアを侵略したシンボルであり、「国旗・国歌法」の強行採決とその強制は、「新ガイドライン関連法」と共に、戦争に向けた国民総動員体制を作ろうとするものです。このような目論みは、石原都知事や森首相の発言にも現れています。
石原都知事は、1999年9月、「遺族の要請があれば、8月15日に都知事として靖国神社に参拝する」と都議会で答弁しました。すでに1991年、仙台高裁での「岩手靖国神社公式参拝違憲訴訟」判決で「違憲」が確定しており、都知事が靖国神社「公式」参拝を行うことは、すすんで違憲行為を行うことであり、断じて許されることではありません。石原都知事は「私は東京で道徳教育をし、小学校から徳目の時間を作る」とも語っています。
2005年5月、森首相は皇国史観に基づく「教育勅語」を肯定し、さらに「日本は天皇を中心とした神の国である」と発言しました。これは、憲法の基本原則である国民主権を侵害し、第20条「信教の自由・国の宗教的活動の禁止」を内閣総理大臣自らが踏みにじるものです。
天皇を中心とした排他的で偏狭なナショナリズムによる教育が何を生み出すか、私たちは先の侵略戦争でその結果を知らされています。
聖書が教える平和と平等と自由の実現を求める私たちは、「日の丸・君が代」の強制に反対します。
第53-2回定期総会
6. 内閣総理大臣の靖国神社公式参拝に反対する声明 2001年5月20日
内閣総理大臣 小泉純一郎様
私たち恵泉バプテスト教会はバプテスト派のキリスト教会であり、「政教分離」を大切にしていくことを教派的特長としています。その「政教分離原則」は、私たちの基本的人権である信教の自由と密接不可分の関係にあります。
それゆえ私たちは、1984年に首相・閣僚等の靖国神社公式参拝に関して、「『靖国神社問題』の状況を憂える恵泉バプテスト教会の宣言」を明らかにし、「政府が靖国神社公式参拝を『違憲ではないかとの疑いを否定できない』とする従来の統一見解にとどまることを要求し、首相や天皇による靖国神社公式参拝等一切の危険な動きに対して強く反対します」と、教会の立場を明らかにしました。
しかしあなたは、5月10日の国会答弁で「戦没者に心からの感謝で参拝したいと思う。8月15日に真心を込めて参拝するつもりだ」と述べ、また前日の記者会見では「総理として参拝する。総理大臣の肩書きは消せない」と述べて、8月15日に靖国神社公式参拝を行うとの趣旨の発言をされました。
靖国神社は、ご存知のように東条英機をはじめとして、東京裁判におけるA級戦犯14名が、1978年以来祭神として合祀されています。これらの祭神に対して、内閣総理大臣が参拝するということは、アジア諸国に対する日本の侵略戦争を肯定することであり、アジア諸国の人々の怒りは私たちの想像を絶するものがあると考えます。
またあなたが、一宗教法人である靖国神社を、宗教でないと解釈しているのであれば、それは国家による宗教介入であります。また、靖国神社であると認識した上で、靖国神社に内閣総理大臣として参拝するのであれば、1991年の岩手靖国公式参拝違憲訴訟における、仙台高裁判決、1997年の愛媛玉串料違憲訴訟における最高裁判所の違憲判決を掲げるまでもなく、靖国神社という特定の宗教団体に対する援助・助長行為となり、憲法第20条「信教の自由は何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」に違反する違憲行為であることは疑いの余地がありません。
日本国憲法第99条に規定されている「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」ことを内閣総理大臣として改めて自覚し、靖国神社参拝を行わないことを私たち恵泉バプテスト教会は、ここに強く要請するものであります。
第54-2回定期総会
7. 「新しい歴史教科書を作る会」の歴史・公民教科書を採択しないことを求める要望書
2001年5月20日
目黒区教育委員会
委員長 岡田匡令様
委 員 谷口汎邦様
委 員 林 幸子様
委 員 土生一俊様
目黒区教育長 大塩晃雄様
2001年4月3日文部科学省は、日本国内のみならずアジア諸国から多くの反対の声があるにもかかわらず、神話を歴史教科書に取り入れ、アジア諸国に対する侵略・植民地支配の歴史を良しとする、「新しい歴史教科書をつくる会」がすすめる扶桑社版の歴史教科書と公民教科書(以下「つくる会教科書」)を検定合格させました。
平和の主イエス・キリストに従う私たち恵泉バプテスト教会は、目黒区に立つ教会として、以下の理由から「つくる会教科書」の検定合格に対して深い憂慮を持ち、貴教育委員会が「つくる会教科書」を採択しないよう要望します。
- 神話上の天皇である神武天皇を第1代と記述し、「神武東征」の地図を戦前の国定教科書「国史」から掲載していること。
- 「神武天皇即位の日」を「太陽暦に直したのが2月11日の建国記念の日」であるなどと、「記紀神話」を歴史的事実を扱っていること。
- 「従軍慰安婦」「南京大虐殺」に関する国家の関与には触れず、その事柄についての真実を記述していないこと。
- アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、侵略戦争であった歴史的事実を無視して「アジア解放」のための戦争であったとの立場を貫いていること。
- 韓国や中国の歴史を侮辱的に記述することによって、偏狭なナショナリズムを植えつけようとしていること。
- 「改憲」を前提とした立場から、「国防の義務」「国家への奉仕」を強調し、「核兵器廃絶」に対して疑問を示していること。
以上のように「つくる会教科書」には、日本の栄光や誇りを昂揚する記述しか見られず、過去の歴史を真摯に見つめて反省したり、日本によって被害を受けたアジア諸国の人たちの痛みを痛みとしてとらえていません。これからの時代は近隣諸国の人たちとの和解を実現し、共に生きることが強く求められており、それゆえ子どもたちにとってふさわしい教科書であるとは言えません。
4月11日から16日まで、韓国のキリスト者であり国会議員でもある金泳鎮(キムヨンジン)氏が、「つくる会教科書」の検定合格に対して抗議の断食を決行しました。私たちは韓国のキリスト者のこのような怒りを深く受け止めています。
私たちの国は、かつてアジア諸国を侵略し、キリスト教会も天皇制国家及び侵略戦争に加担し、近隣諸国の人々に対して誤りを犯しました。私たちはこの反省に基づいて、近隣諸国との真の和解や相互関係を作り出す努力をしていますが、それはこれからの時代にアジアの一員として生きるすべての人たちに強く求められていることです。
目黒区教育委員会におかれましては、「平和都市宣言」を行っている目黒区の理念に基づき、かつての侵略戦争や植民地支配を心から反省し、相互理解・共生を学ぶことのできる教科書を採択されることを願い、「つくる会教科書」を採用しないよう要望いたします。
第54-2回定期総会
8. 有事法制に反対する声明 2002年5月26日
私たち恵泉バプテスト教会はいのちを守り隣人愛を実践し平和を作り出すべきことを教えられているキリスト者として、国家による殺人行為・暴力行為・加害行為である戦争の根絶を求め、日本を戦争国家に作り変えようとするような、「有事法制関連3法案」に強く反対します。
- 武力攻撃事態法案には「武力行為」という言葉と「武力攻撃事態」という言葉が
- 法案では、「武力攻撃」に対して「武力の行使」を行うだけではなく、「武力攻撃
(3)法案は、内閣総理大臣が地方公共団体の長に対し対処措置の実施を指示することができ、地方公共団体の長が首相の指示に従わない場合は、首相が代執行することができるとしています。これは首相に権力を集中して地方自治を否定するものです。国家が戦争を行いにくくする意味をもつ地方自治を否定することによって、法案が戦争の実行を容易にしていることに私たちは強く抗議します。
(4)法案は、指定公共団体(日赤・NHK・運輸通信機関など)にも、自衛隊とアメリカ軍への物品・施設・役務提供を課しています。その結果、例えば、NHKが国営放送的存在となって、戦争協力報道によって世論を操作し、戦前・戦中と同様な状況を作ることを私たちは許すことができません。
(5)自衛隊法改正案では、物資保管命令違反などに対する民間人への罰則が設けられ、戦争協力を民間人へ強制しています。また、武力攻撃事態法案には、「国民は必要な協力をするよう努めるものとする」と書かれています。このようにして非協力者を処罰し、「非国民」扱いして、国民総動員体制を作り、戦争という暴力行使を強制することに私たちは激しい憤りを覚えます。
国民の安全が脅かされるような事態が万一「予測」される場合、政府が果たすべき責任は、根本的な平和解決の速やかな実行であり、そのような解決を可能にするために日常から平和関係を樹立し、平和機構を構築して行くことです。
歴史的に見れば、日本は日清・日露戦争を始めアジア諸国への侵略によって大国となり、世界帝国イギリスの真似をして侵略地支配をしましたが、不況に陥って15年戦争を強行しました。その歴史を戦後も繰り返して日本は大国主義となり、アメリカの世界支配に加担し、不況の中で戦争への道を急テンポで進んでいます。そのことは、周辺事態法、テロ対策特措法、国旗国歌法、教科書問題、首相の靖国神社公式参拝などに顕著に表れています。
この動向の総仕上げの開始とも言うべき今回の有事法制案に対して、私たちは、歴史の教訓から深く学び、「殺してはならない」というキリスト教倫理の立場から、強い「反対」の意思を表明します。
第55-2回定期総会
9. 南部バプテスト連盟に対し、女性問題他に関して書簡を送る件 2002年5月26日
アメリカ南部バプテスト連盟
理事長 ジェームス・メリット様
総主事 モリス・チップマン様
栄光在主
私たちは、日本バプテスト連盟恵泉バプテスト教会に連なる者として、アメリカ南部バプテスト連盟に対して、祈りを持ってこの書簡を送ります。
貴連盟におかれましては、南部バプテスト信仰告白のⅥ.教会で「教会で奉仕する賜物は男性にも女性にも与えられているが、牧師の任については、み言葉によって規定されているように、男性に限られている」(While both men and women are gifted for service in the church, the office of pastor is limited to men as qualified by Scripture.)と女性牧師を認めないとの信仰告白がなされたとのことであります。
私たち恵泉バプテスト教会は、日本のバプテストの支援もさることながら、貴連盟に連なる一人一人の熱い祈りと献金、そして、人的支援によって1949年伝道を開始し、現在に至っています。
伝道開始以降も、Mr.M.E.DozierをはじめとしてMs.B.P.Emanuel、Ms.V.B.Highfill、Ms.H.Watson、Ms.C.K.Dozier、Ms.M.F.Horton、Ms.P.Howard、Ms.M.Hardy、Ms.J.Foldsらを宣教師などとしてお招きし、さらには、1984年から1989年まで金丸英子さんを牧師としてお招きし、2000年には村上千代さんを協力牧師としてお招きし、現在に至っています。
さらには、女性宣教師のロティー・ムーンさんの祈りに応えて始まった世界バプテスト祈祷週間も教会の大事な働きとして推進してきました。
私たちは、このような恵泉バプテスト教会の歴史を通して、神は男とか女とかいう性別ではなく、一人一人に豊かな恵みと賜物を与えてくださることを学ぶことができました。
私たちは、この学びの中から、貴連盟が女性牧師を認めないとの信仰告白をされたことに、深い悲しみを覚えるものであります。
貴連盟が、女性牧師の必要性を認め、信仰告白を再考することを切に願い、祈りつつ、この書簡を送らせていただきます。
そして、昨年9月11日に起こった悲劇的なテロにも思いを寄せ、犠牲者の遺族の方々に主の慰めがあることを祈ります。それとともに、テロに対して武力による報復が、真の平和をもたらさないことを歴史は示しています。
貴連盟が、主にあって「剣を打ち直して鋤」(ミカ4:3)とする聖書の言葉に堅くたって、報復戦争に対して反対の運動を起こされることを祈りつつ願います。
第55-2回定期総会
上記書簡の英訳
To the President and Chief Executive Officer
Executive Committee, Southern Baptist Convention
President Dr. Jack Graham
cc: General Secretary Dr. Morris Chapman
Dear Dr.Jack Graham:
Let us praise Jesus Christ, our Lord.
We, the members of Keisen Baptist Church of the Japan Baptist Convention, are writing this letter with the deepest concern and prayer.
We understand that the Southern Baptist Convention has decided not to recognize women clergy by adopting a clause to your Confession of Faith, “Article VI Church: While both men and women are gifted for service in the church, the office of pastor is limited to men as qualified by Scripture.”
Our Keisen Baptist Church started its evangelism in 1949 with the support of Baptists in Japan and the support of your missionaries and zealous prayers and precious offerings of the members of your denomination. We greatly appreciate that help. We owe a great debt to you for what we are today.
Ever since we started, we have been fortunate to have the opportunity to have women serving as pastors and missionaries. This long list includes Mrs. Mary Ellen Dozier, Mrs. B. P. Emanuel, Ms. V. B. Highfill, Mrs. H. Watson, Mrs. C. K. Dozier, Ms. M. F. Horton, Mrs. P. Howard, Mrs. M. Hardy, and Mrs. J. Folds. And, Ms. Kanamaru Eiko served as pastor from 1984 to 1989, and at present, we have Ms. Murakami Chiyo as associate pastor since the year 2000.
Moreover, every year, we have been observing the Week of Prayer for World Missions (Lottie Moon Christmas Offering) as a very important part of our activities. Needless to say, this Baptist prayer week was started as a response to the prayers and work of Ms. Lottie Moon, a woman missionary sent by your organization to China.
Through this history of Keisen Baptist Church, we have learned that God gives abundant grace and blessings to each one of us as individuals regardless of a person’s gender.
Because of what we have learned and experienced, we the members of Keisen Baptist Church feel the deepest sorrow by your addition of a clause to your Confession of Faith which excludes women pastors.
We send you this letter with our sincere prayers and hope that you will recognize the gifts of women members of the clergy and the church’s need for the ministry of women and reconsider this clause.
We are also praying for the Lord’s mercy upon the families of the victims of the tragic terrorist attacks on September 11th. At the same time, we believe history shows that revenge by arms will never bring us real peace. Therefore, we hope that your organization will act in the name of the Lord against further American retaliation for that awful attack, based on the Scripture: “They will hammer their swords into plowshares.” (Micah 4:3)
In the name of Jesus Christ,
(Mr.) Onishi Haruki, Chairperson
55 –2 Annual Business Meeting
Keisen Baptist Church
Note: For your reference, Japanese names in this letter are in Japanese order, family name first.
- Ron HankinsならびにLydia Barrow-Hankins宣教師辞職勧告の件
国際伝道局 ジェリ-・ランキン局長 様
Ron HankinsならびにLydia Barrow-Hankins宣教師辞職勧告の件
栄光在主
2002年5月26日付書簡にて、日本バプテスト連盟恵泉バプテスト教会に連なる私たちは、深い願いと祈りを持って「牧師は男性に限られる」とする貴連盟の信仰告白を再考されるよう、書き送りました。わたしたちは切に、貴連盟が女性牧師の必要性を認められることを求めました。ところが、2003年4月10日付書簡において貴連盟国際伝道局より、Ron HankinsならびにLydia Barrow-Hankins宣教師は退職勧告を突きつけられました。
その後、世界中のIMB宣教師の中で、Ron HankinsならびにLydia Barrow-Hankins宣教師を含む9名の宣教師たちが信仰宣言に署名する選択が与えられることなく、自ら辞任するか解雇されるかという状況になったこと、IMB理事会により30名の宣教師が解雇されたこと、そのほかに30名の宣教師が早めに退職すること、又は自ら辞任することを認めた、ということを聞き及び、失望に耐えません。
私たちは、恵泉バプテスト教会の歴史を通して、「神は男とか女という性別ではなく一人一人に豊かな恵みと賜物を与えて下さっている」ことを学びました。
神は、罪びとである私たち一人一人に、イエス・キリストの十字架により、和解の福音へとあずからせて下さいました。そして、人の思いではなく、このイエス・キリストのみを土台として、思慮深く身を慎んで祈っていくことにより、神の教会を建て上げることができること確信しています。
私たちは、Ron HankinsならびにLydia Barrow-Hankins宣教師ら多くの宣教師に対してなされた、アメリカ南部バプテスト連盟国際伝道局による辞職勧告と処遇に、遺憾の意を表明し、この書簡を送ります。
貴連盟が、このイエス・キリストの十字架を思い起こし、Ron HankinsならびにLydia Barrow-Hankins宣教師、さらに多くの「女性牧師たち」を受け入れ、貴連盟の信仰告白を再考されることを祈りつつこの書簡を送ります。
主にありて
第56-2回定期総会
上記書簡を英訳したもの
Dr. Jerry Rankin
President of International Mission Board of
Southern Baptist Convention
Re: Termination of Service of Rev. Ron Rankin and Rev. Lydia Barrow-Rankin
Alleluia! May the Lord be praised.
With reference to our letter of May 26, 2002, we, members of Japan Baptist Convention, Keisen Baptist Church, sent to you in deepest hope and prayers, that you would give further consideration of the declaration in ‘Faith and Message’ that ‘’office of pastors is limited to men’’. We earnestly requested your reconsideration and recognition of the necessity of women pastors. Nevertheless, Rev. Ron Rankin and Rev. Lydia Barrow-Rankin were given notice of their termination by IMB by letters dated April 10,2003.
We are deeply disappointed to hear that nine IMB missionaries in the world including Rev. Ron Rankin and Rev. Lydia Barrow-Rankin, who either resigned or were dismissed without given a chance to present their case in their difference of opinion of ‘ Faith and Message.’ Subsequently, thirty missionaries were dismissed by IMB and another thirty missionaries voiced their decision of retirement or earlier retirement before their full term of service.
Through the history of Keisen Baptist Church, we have learned that God gives each one of us abundant blessings and gifts irrespective of gender.
We have every confidence that God has given each one of us reconciliation with Him by the Crucifixion of Jesus Christ and that with obedience and humble prayers, we could build up a church of God based on Jesus Christ only, not based on the desire and wisdom of our flesh.
We write to express our deepest regret and disappointment with IMB of Southern Baptist Convention, who finalized the above termination of service to our Lord.
We faithfully pray that Southern Baptist Convention would remember the Crucifixion of Jesus Christ and reconsider this particular viewpoint in the ‘Faith and Message’ and reinstate Rev. Ron Rankin and Rev. Lydia Barrow-Rankin and also prospective women pastors concerned.
In our Lord
(Mr)WATANABE Makoto, Chairperson,
56-2 Regular General Meeting of Keisen Baptist Church
May 18, 2003
11. イラクへの自衛隊「派兵」を中止し、「武力によらない平和」の実現を求めます
2004年3月21日
内閣総理大臣
小泉 純一郎 様
私たちは、イエス・キリストの十字架による贖いと復活を信じ、平和を追い求めるキリスト者として、イラクへの自衛隊「派兵」をすぐに中止し、武力によらない平和を実現していくことを強く願い求めます。
昨年12月9日のイラクへの自衛隊派遣基本計画」を閣議決定後、政府与党は、平和を願う多くの人々の声を無視して、自衛隊本隊のイラクへの派遣命令を出し、武器とともに自衛隊「派兵」を強行しました。
小泉首相や石破防衛庁長官は、この『自衛隊派遣』について「戦争をしにいくのではない」「イラクの人々の人道支援のため」と説明していますが、武力によるイラク制圧の一端を担う「派兵」そのものです。
私達は、「あなたは殺してはならない」「あなたは隣人の家をむさぼってはならない」という聖書の教え(モーセの十戒)に従う者として、人を殺し、殺されるいかなる戦争にも反対します。
また、小泉首相は、靖国神社小祭である新年祭にあたる、本年1月1日に4度目となる靖国参拝を強行しました。このような神社神道祭祀における特別な日に参拝することは、靖国神社を援助・助長するものです。小泉首相は「国際協調」をさかんに唱えていますが、アジアの人々が嫌がっていることは推し進め、アメリカへの「協調」のみを進めているだけです。
私たちは、政治が特定の宗教にかかわり、軍事的に利用することが、戦争を生み出していくことを知っています。この一連の小泉首相の靖国神社参拝が、戦争準備への布石であり、ふたたび、人を殺し殺された人を神として祀ることへつながるのではないかと思えてなりません。
昨年のアメリカによるイラク攻撃開始以来、小泉首相はアメリカのブッシュ大統領のイラク政策を全面的支持し、支援してきました。ところが、攻撃最大の理由でもあった、「大量破壊兵器」は見つからず、今ではイラク攻撃の正当性のみを主張しています。今やるべきことは、この事実を明らかにし、あやまちを認めることではないでしょうか。
そして、傷ついた多くのイラクの人々も、軍隊など求めていないことに耳をかたむけるべきではないでしょうか。
今こそ、戦争を放棄した平和憲法を守り、「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」(旧約聖書イザヤ書)という言葉の通り、武器によらない平和実現への努力を始めることを願います。
第57-1回定期総会
12. 佐藤美和子さんに対する賠償問題に応じることを求める要望書 2004年6月20日
国立市長 上原公子様
東京都知事 石原慎太郎様
要 望 書
私たち恵泉バプテスト教会は、佐藤美和子さんに対する賠償に応じるよう求めます。
「国旗国歌法」制定以降、教師・子どもたちへの「日の丸・君が代」の強制は、政府の答弁に反してあまりにも酷く、私たちは見過ごすことができません。なぜなら、「日の丸・君が代」の強制は、私たちキリスト者にとって、信仰そのものを否定する行為だからです。
聖書には次のように書かれています。
「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。あなたはいかなる像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。」(出エジプト記20章)
しかし、壇上に掲げられた「日の丸」に頭を垂れ、「君が代」を歌うことは、神でないものを神とし、礼拝する行為です。
私たちはかつて、戦争を推し進める圧力に屈して、礼拝の中で「国民儀礼」として、「君が代」を歌わされた歴史を持ちます。しかし、同じ時に朝鮮の教会では、信仰による抵抗が行われ、多くの殉教者を出しました。私たちは、神でないものを神とすることによって、他国の民衆を傷つけることになった罪を悔い改め、二度と同じ過ちを犯さないことを決意しています。
このような信仰を共にする佐藤美和子さんが「日の丸・君が代」の強制に反対することが、信仰的良心であることは十分に理解できます。
しかも、佐藤さんは青いリボンをつけていたことが「精神的職務専念義務違反」に問われているということは、法を逸脱した思想弾圧であると言わなければなりません。
佐藤美和子さんの処分は、個人の問題にとどまらず、私たちの信仰を否定する行為であると考え、佐藤さんに対する賠償に応じるよう強く求めます。
第57-2回 定期総会
13. 憲法改悪に反対する声明 2005年6月12日
「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」(旧約聖書イザヤ書2章4節)
「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」(新約聖書マタイ福音書26章52節)
私たち恵泉バプテスト教会は、バプテスト派のキリスト教会であり、平和と和解の主イエス・キリストに従う群れです。バプテスト派はピュ―リタン革命の担い手として、伝統的支配に抗して<信教の自由>を強く主張し、個人の自覚に基づいて近代市民社会の自由権・平等権の確立に大きく貢献しました。そのような私たちにとって、憲法改悪を前提とした、衆議院・参議院に設置された憲法調査会の報告書、とりわけ2004年6月に自民党憲法調査会プロジェクトチームによって公表された「論点整理」は以下の理由で到底受け入れられるものではありません。
(1)「両性の平等規定」(憲法14条及び24条)
「論点整理」では、「わが国の歴史、伝統、文化等を踏まえた『国柄』を盛り込むべきである」また「婚姻・家族における両性平等の規定(憲法24条)は、家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべきである」とあり、「個人の解放」と「男女平等原則」を否定したものです。私たちは、聖書の本質である平等思想・反差別思想を信じる立場から反対します。
(2)「政教分離」(憲法20条及び89条)
「論点整理」では、 「政教分離規定(現憲法20条3項)を、わが国の歴史と伝統を踏まえたものにすべきである」また「衆議院憲法調査会報告」には「公務員のごく一般的な習俗的行事への参加については・・・公費の支出は認められるべきである。憲法上の疑義を解消するために、条項を改正すべきである」「憲法が天皇制を定めていることから、皇室行事に公が関与することは、政教分離原則の例外として認められる」とあります。憲法20条第3項は、戦前・戦中における天皇制・国家神道体制の弊害を除去するために規定されてものです。国家と宗教の厳格かつ徹底した分離を求める立場から私たちは政教分離の曖昧化に反対します。
(3)「平和主義」(憲法9条)
「安全保障」に関して、「論点整理」では、「自衛のための戦力の保持を明記する」「個別的・集団的自衛権の行使に関する規定を盛り込むべきである」「国の防衛及び非常事態における国民の協力義務を設けるべきである」とあります。また「改憲草案大綱」には「個別的または集団的自衛権を行使するための必要最小限の戦力を保持する組織として自衛軍を設置する」とあります。これらの改憲案は、日本が「自衛のため、やむをえず」と称してとりわけアジア・太平洋世界への侵略戦争を行なったことへの反省に基づいて<戦争放棄・戦力不保持>を憲法9条に規定したことの歴史的意味を完全に消し去り、そのような動向は、アジアの人々の日本に対する不信感を一層大きくすることから私たちはこれに反対します。
(4)「憲法改正規定」(憲法96条)
「論点整理」および「改憲草案大綱」は、憲法96条の規定を緩和して「各議院の総数の過半数(2/3以上ではなく)の賛成と国民投票の有効投票総数の過半数の賛成で改憲できる」としています。これは与党政治家が恣意的に改憲できる体制を作る動きであって、憲法の権力制限規範性を認めない立場が表われていることに反対します。
私たちは最後に憲法97条の「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」という言葉を銘記したいと思います。
第58-2回定期総会
14.小泉首相に靖国神社参拝をしないことを申し入れます 2006年6月11日
内閣総理大臣
小泉純一郎 殿
私たち恵泉バプテスト教会は、プロテスタント・キリスト教のバプテスト派に属し、平和と和解の主イエス・キリストに従う群れです。バプテスト派はかつて、英国国教会が国王の名の下にその信仰を全国民に強制した時、教会と国家の支配者は別人であり、国家は宗教に関わってはならないと主張し、「傷つきやすい良心の自由」の保障を国家に求めてきました。この精神は日本国憲法第20条に制定されているような「信教の自由=政教分離」の原則につながるものです。
内閣総理大臣が靖国神社に参拝することは、かつて「神社参拝は宗教活動ではなく国家儀礼だ」として、私たち日本のキリスト教会が神社参拝を強制されてきた歴史を思い起こさせるものです。
私たちは自らの信仰に基づいて、生と死についてイエス・キリストからのみ知ろうとしています。それゆえに、国家が靖国神社の信仰に基づき、人間の死を統一的、絶対的に意義づける「英霊信仰」によって、死者を神格化し、礼拝の対象とすることに反対します。戦争による死を美化し死者を利用することは、すべての遺族の平和の願いに応えるものではありません。さらに、日本の戦争の犠牲となったアジアの人びとの死をも無視し、新たな「英霊」を生み出すことにつながります。
私たちは次のように信じています。神はイエス・キリストにおいて、私たちをご自分に和解させられました。私たちは、この和解の福音を信じ、人間が人間として人間らしく生きることを祈りつつ、それぞれの生活の場において、イエス・キリストの証人となり、キリストにあって隣り人に仕え、悪や誘惑とたたかいつつ、地の塩・世の光として生きることを大切にしています。
私たちは、隣人を愛し、ひとりひとりの生命の尊厳が大切にされる「平和」が全世界において実現されることを心から祈っています。かつて私たちは戦争に協力し、アジアの隣人の生命と財産を奪いました。私たちはこのような過ちを主イエス・キリストに告白し、悔い改めて再び同じ過ちを犯さないようにと祈る者です。
私たちは2001年5月20日にも小泉首相に、「内閣総理大臣として、靖国神社参拝を行わないこと」を要請しました。しかし小泉首相は就任以来、毎年靖国神社参拝を継続し、この8月にも靖国神社を参拝しようとしていることを私たちは憂慮し、改めて小泉首相が、一宗教法人である靖国神社に参拝しないことを、強く申し入れます。
私たちは貴職が、日本とアジア、世界の人びととの和解の道に歩まれるようイエス・キリストの神にとりなしを祈ります。
第59-2回定期総会
15. 小泉首相の靖国神社参拝に対し抗議します 2006年8月15日
内閣総理大臣 小泉純一郎様
私たち恵泉バプテスト教会は、2001年5月20日及び2006年6月11日に「首相が靖国神社参拝を行わないこと」の申し入れをしました。しかし、貴職は私たちの願いを踏みにじり、就任以来、毎年靖国神社参拝を行ってきました。さらに貴職は、私たちの要請を全く無視し、本日8月15日靖国神社参拝を強行しました。私たちは、改めて以下の理由から強く抗議します。
- 私たちの国はかつて、近隣のアジア諸国を侵略し多くの尊い命を奪いました。貴職の靖国神社参拝は、日本の戦争責任を否定し、多くのアジアの人々の痛みを無視しさらに深く傷つける行為です。
- 貴職の靖国神社参拝は、平和を願う遺族の思いに応えるものではありません。
- 貴職の靖国神社参拝は、日本国憲法20条・89条に規定されている「信教の自由=政教分離」の原則を逸脱するもので、明白な違憲行為と考えます。
- 靖国神社は、戦争による死者を利用し、戦争を美化する「英霊信仰」を宣布する宗教施設です。靖国神社への貴職の参拝は、国家が新たな「英霊」を作り出すことへ繋がると考えられます。
神は、イエス・キリストを通して、隣人に仕えること、人間が人間として人間らしく生きることを示されたと私たちは信じています。私たちは、一人ひとりの生命の尊厳が尊重される「平和」が全世界において実現されることを心から願い祈っています。
私たちは、貴職が日本とアジア、世界の人びととの和解の道に歩まれ、真の平和を求める道を歩まれるよう、神にとりなしを祈ります。
第59-2回定期総会